勾配
説明が意味不明になっちゃった・・・。
〜はじめに〜 このページはとんでもなく無駄話が多い。本当に無駄な話だ。だから、最初に結論を書いておく。 あるスカラー関数 φ(x,y,z) に対して勾配は、次のように定義され、次のように書かれる。 そして、 となるとき、φはFのポテンシャルと呼ばれる。 そして物理の場合は のとき、ポテンシャルと呼ばれる。 さて、これくらい知っていればOKだ。 ここからは無駄話だ。無駄話。 なぜ「勾配」と呼ばれるのか、を中心に考えていく。
まずは、1変数の場合を考えよう。 〜勾配の意味〜 Yahoo! 辞書によると 『水平面に対する傾きの度合い。傾斜。また、斜面。「―の急な坂道」「―を登る」』 とある。これに従って、次のグラフをモデルに「勾配」を考えていこう。 普通に勾配を意味どおりに捕らえると、勾配はグラフの接線とのベクトルになりそうだ。 実はこれは、平面曲線 の接線ベクトルだ。そして、これを勾配としてしまうと不具合が起こってしまうのだ。
〜平面曲線の接線と勾配〜 関数 y = f(x) の、ある x での勾配を接線のベクトルとしよう。すると勾配は となる。接線ベクトルの性で、山(極大)の左側だと山の頂上に向かっていくのだが、右側だと頂上から離れていってしまう。 接線ベクトルは、パラメーター(今回は x )の増え方に抗うことはできないのだ。 さて、これで何が不具合なのかわかるだろうか。 まず、山の頂上に向かっていくのだが、右側だと頂上から離れていってしまっていいのだろうか。 そもそも勾配はグラフの変化のしかたをみるものなのだから、ナナメに動かすこともないのではないだろうか。
〜そして勾配へ〜 平面曲線は実体を持つが、 グラフの場合は平面に表現しているだけだ。平面曲線の場合は線でなくてはいけないが グラフの場合は別に線以外で表現してもいい。最悪色でもいいのだ。平面曲線とは違って。
そのことを考えても、平面曲線の接線として関数の勾配を決めるのは少し乱暴ではないだろうか。 勾配(傾き)としては、まるで排水溝に水が吸い込まれるように、 x 軸上のどこか一点に向かうようになっているべきではないだろうか。 そして、微分係数を1次元のベクトルとみると、見事にそうなっているではないか!
ということで、1次元のときは、f(x)の微分を x 軸に沿った1次元のベクトルとして見ることで勾配を定義するのがよいだろう。
1変数関数のとき
〜拡張〜
まずは、2変数関数に拡張してみよう。
そのときは、x 軸に沿った線と y 軸に沿った線で断面を考えれば簡単だろう。
断面図は、それぞれやっぱり1変数関数になっている。断面で考えることは、どちらかの変数を固定することに対応する。 まずは、x 軸に平行な面での断面を考えてみよう。右側の図の、水色の面で切ったものだ。 x 軸に平行な面での断面なので、変化するのは x だ。y は固定されている。y = y0 と置いておこう。
使いまわしで何が悪い
f(x,y)は2つ変数があるが、今は x の変化を見ているので偏微分の記号になっていることに注意しよう。 では、勾配ベクトルを考えよう。x 方向の変化は、1変数のときと同じで だ。 そして、y 方向の変化だが、全然変化していないので 0 だ。よって、y が固定されている場合の勾配は になる。 今度は y 軸に平行な断面、つまり緑色の面での断面で考えるのだが、これはもう類推できるだろう。勾配は だ。両方が変化するときは、これらの足し合わせになるだろう。 よって、2変数関数の勾配は、次のようになる。
2変数関数のとき
つぎはもちろん3次元なのだが、表現が4次元空間になってしまうので、図示することができない。 だが、勾配自体は特徴抽出的に拡張してよい。
〜物理ではマイナスが付く理由〜
ある1変数関数 を考えよう。これは +e の電荷が そこから距離 x の場所に作るポテンシャルを表す。 さて、ここに電荷 +e の物体を置いてみよう。プラスの電荷同士には離れあうように力が働く。図示すると
のようになる。こうしてみると、受ける力の向きは山から離れる方向、つまり勾配と逆方向になってしまっている。 これを修正するために、物理で力をポテンシャルから定義するときは、マイナスをつけて辻褄合わせをするのだ。 よって、物理ではポテンシャルφの周りに生まれる力 F は となるのだ。 数学の方がなぜマイナスが付いていないのかはわからない。おそらく、物理では現実世界に当てはめて F を考えるが 、 数学では単に勾配ベクトルを F と置いただけなのだろう。数学者が先に、マイナスの付かない形でポテンシャルを 定義し、それを見た物理学者が「これは使える!」と思ったが、現実に則するためにマイナスをくっつけた。そんなところだろう。 |